道具としてのExcel活用

Excelで在庫管理(2)Excelで管理するメリット/デメリット

前回はExcelで在庫管理をするにあたっての基本的な考えについてお話ししました。

Excelで在庫管理(1)基本的な考え方

今回は在庫管理にExcelを使用する事のメリット/デメリットについてお話しします。

もう20年も前から「Excelで××管理をするのはもう旧い、これからは○○○だ!」といったアプローチが流行っています。
最近でも「これからはクラウドだ」「いや、RPAだ」「AIの時代だ」…と新しい概念が出ては消えています。
いずれの場合も共通するのは、Excelで××管理をするのが旧いとする根拠があいまいな事です。

在庫管理をExcelで行うメリット

Excelで在庫管理を行う最大のメリットととして、例外事象に強い事があげられます。
在庫管理の場合は必ず補充(入庫)を伴うので、「入庫させるための発注」が必要になります。

定例発注をするような場合で仕入先や原材料種類が多いと、
「いつもは10単位仕入れるが、今後値上がりしそうだから今回だけ20単位手配しよう」といった例外事象が頻発します。
また、廃番予定商品の原材料は新たに仕入れる必要がなくなりますが、
商品の生産を一時的に休止するだけの場合もあり、その場合はいちいち廃番にすることはありません。
もし廃番にしてしまって生産再開時に戻し忘れてしまうと、生産ラインが混乱するだけです。

そんな時は、Excelでフォーキャストを作れるようにしておきます。
するとデフォルトで自動設定できます。
また任意に数値を打ち替えたり、着色やコメントを付ける等の加工も容易にできます。
Excelで在庫管理をシステム化すると、驚くほど例外事象に強くなるのです。

 

実はバーコードも有効な活用手法

Excelというと関数と式で作るものだと思っていないでしょうか?
そういう方は在庫や入庫の登録をバーコードで実現した、などという話を聞くと驚かれるかも知れません。
実はExcelにはバーコードを利用して情報(JANコードなど)を入力することが可能です。
検品作業をする際に、手で登録していると大変ですし、入力ミスも起こりそうですね。
あくまで当社の観測範囲ではありますが、実際の現場では手入力は主流ではありません。
バーコードで商品コードを読み込み、あとは数字を打ち込むだけ…
といった使い方が圧倒的に多いのが現状です。

使用するバーコードスキャナーは高価なもの、高機能な物である必要はありません。
2000円未満で入手できる程度のバーコードスキャナーで、Excel在庫管理に十分活用できます。

在庫管理とは異なりますが、当社の事例の中でバーコードを活用した勤怠実績管理があります。
ぜひご参照ください。
バーコードを使用した勤怠実績管理事例給与計算ソフトにデータを連係

 

Excel在庫管理システムのデメリット!?

基本的にExcelだからという理由で生じるデメリットはありません。
しかし同調圧力の強い文化の場合、「皆がやっている」ことが暗黙のルールとなっています。
その為、独りだけ別なことをしようとすると途端に圧力がかかります。
Excelを管理システムとして使う場合、反対される可能性が高いことはデメリットかもしれません。


Excelに反対する根拠としては、「式が壊れる」「使っているうちにファイルサイズが肥大化する」「人が転記する際にミスが起こる」
…といったような、一見尤もらしい理由が挙げられる事が多いです。
しかしいずれも「式を保護する/使わないようにする」「データを外部のDBなどに分離する」
「マクロなどで自動化されれば人が操作する部分がなくなる」といった対策が可能です。
ですがそこを説明しても大抵は納得されず、「感覚的にExcelでできると納得できない」ケースが多い様です。
どうやら、「Excelで情報システム化する」といっても、「どうせ関数や式で作るんだろう」という思い込みが強いようです。

Excelで作る管理システムと、管理シートの違い

しかしプロが設計した「システム」であれば、壊れてもある程度自立的に補正できるように設計されているのが普通です。
在庫管理システムとは「ちょっとExcelに詳しい社員が片手間で作った、式と関数の在庫管理シート」とは別物だと考えて下さい。
当社が実際に手掛けた事例もぜひご覧ください。

 数万種類の商品在庫を、夜間に自動更新、Excelで管理 (バッチ処理)

1000シートを超えた、巨大サイズの在庫管理Excelファイルの改修

試食使用分を把握して、売り損じを撲滅~ 初心者でも使える、Excel在庫管理 ~

 

在庫管理は、管理手法の確立が要

在庫管理に限らず、何でも自動化すれば良いというものではありません。
しかし、在庫管理は特に取り扱い対象物による違いを意識して、前後の業務にどのように接続するかを睨みながら、
実在庫と理論在庫の際をどのように縮めるか、あるいは埋めていくか…
といった行為の繰り返し運用となります。
ボタンを押せば答えが得られるといったものではないため、事前の洞察が肝要です。
いきなりパッケージもののシステムに飛びつくのは待ってください。
自社が管理したい対象物がどのような特性があり、どうすればあるべき姿になるのか?
今一度じっくりと考えて見てはいかがでしょうか。

判断でお困りでしたら、無料・匿名で相談にも応じていますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
次回は実例を挙げながらより具体的なお話をしようと思います。

Excelで在庫管理(3)実例に見るシステム手法の考え方-商材篇-