道具としてのExcel活用

テレワーク:自宅から会社のパソコンに接続する方法
~ VPN・ルータの設定 ~

我が社では、10年以上前からVPNルータを導入し、緊急時には自宅から会社の環境に接続できるようにしていました。
このおかげで、夜間・休日に発生した緊急事態に、迅速な対応ができた実績があります。
当然の様にこの機能を使ってきましたが、コロナ禍でテレワークが推奨される中で、「そんな事ができるんだ!」と驚いている人が意外と多いことを知り、逆に驚いています。

自宅にパソコンだけ持ち帰っても単なる「在宅」でしかなく、成果物を次の工程の人に送って初めて組織的な仕事になるわけですから、いかに情報(たいていはファイル)を共有するかが生産性を決める重要な要素です。
会社に居るときと同様にファイルサーバを共有するのが一番手っ取り早いので、今回はその方法をご紹介します。

 

テレワークの必須アイテム「VPNルータ」とは

VPNルータとは、一般のルータと区別するために「VPN」と付いているくらいですので、別の機能があります。
別の機能とは、Virtual Private Networkと言うもので、この頭文字を取って「VPN」と呼ばれています。
インターネットは不特定多数の人がアクセスしているので、情報漏洩等の危険があるわけですが、VPNを使用することでデータが暗号化されて、他人に内容を知られずに安心して通信できる仕組みがVPNです。
会社側のルータにVPNの設定をしておけば、社員は自宅からリモート接続することでファイルサーバにアクセスしたり、自宅のPCに会社のPCを再現することが出来るようになります。
自宅に居ながら会社の仕事環境にアクセスできるようになることで、「締め処理のマクロを実行するためだけに会社に出向いて、5分で帰宅する」といった悲しい事態を回避できます。
TeamsやOffice365のようなクラウドサービスがサービス提供者(MicroSoftなど)のサーバにアクセスして実現しているのに対して、会社のルータを通じて会社のサーバにアクセスしている点が、根本的に異なります。

 

自宅のルータでもVPN通信は可能か?

通常、家庭用に販売されているルータは「ブロードバンドルータ」と呼ばれるもので、大抵無線LANの機能と一緒になっています。
これは家庭内で使うことを前提に、企業でしか使わないような高度な機能を削ったり、スペックを落とすことで低価格を実現したものです。
VPNはおまけでついてくるような機能ではない為、通常の家庭で使用しているルータにその機能はありませんが、どちらか一方にVPNが設定できればVPN通信は可能です。
その為、会社側のルータがVPN設定出来れば社員が自宅側で新たにルータを用意する必要はありません。

 

VPNの設定+Windowsの設定で実現

VPNルータ側の設定

機種によっても異なるので、個別の設定方法は端折りますが、A地点とB地点の通信を、同じ暗号~復号ルールにする必要があることは意識しておいて下さい。
暗号化、といってもいくつか規格があるので、「どの規格を設定するか」とともに、暗号を設定するための文字列等を設定します。

ここで設定した内容は、自宅からつなぐ際に、Windowsでも同じ内容を指定します。

 

Windows側の設定

Windows10では、コントロールパネルから設定しますが、折角なので検索機能を使ってみましょう。


スタートボタンの横に「VPN]と入れると、関連する項目が表示されます。ここでは「仮想プライベートネットワーク(VPN)の変更」を選びます。

 

続いて、「VPN接続を追加する」を選択し、具体的な設定内容を設定します。

プルダウンで選択する項目により、他の入力項目が変化しますが、ルータ側でユーザ+パスワードで設定しているなら、上記イメージ通りでつながります。

なお、VPNに接続した=会社のLANに接続した、だけですので、つなげたいパソコン接続するには改めて認証を通す必要があります。

ファイルサーバに接続すれば、全てのファイルにアクセスできますし、リモートデスクトップの機能を使えば、あたかも会社のパソコンを自宅のパソコン上に呼び出した状態となるため、ここでExcelマクロを実行すれば、会社のパソコンでマクロが実行されます。自宅のパソコンにExcelファイルをダウンロードして実行しても、自宅側の環境での実行となる点が異なります。

なお、自社の環境が、こうしたリモートアクセスに対応しているかどうか分からない、あるいは設定の仕方がわからない、という方は、ご相談に応じています(ルータの型番をお知らせ戴ければ、対応しているかどうか+αのことは調査致します)。

 

利便性とセキュリティは表裏一体

ところで、こうして外部から機密情報にアクセスできるということは、悪意を持った外部の人もアクセスできることを意味します。

くれぐれも、本人にも自宅PCにも、ウィルス対策をお忘れ無く!