道具としてのExcel活用
脱「脱エクセル」のすすめ(1) ~ファイルが重くなる!?~
「エクセルにはできない」 本当かどうかやってみた。
前稿の続きとなりますが、ちまたに「脱エクセル」という単語がアイコン化されている現状、Excel歴35年の筆者としても冷静に状況を受け止める必要があると考え、「脱エクセル」の根拠としてあげられている「エクセルではできないこと」「エクセルの欠点」を検証して見ることにしました。
以下、代表的な「脱エクセル」側主張への見解です。
1.ファイルが重くて開かない
当社のWebページでもよく検索されるテーマですが、開くのに10秒以上かかる場合、原因は3つ考えられます。
①Excelのファイル自体が肥大化して500MB以上もある
大抵は使っていないシートや最下段に間違って入力したときの痕跡で100万行分の領域をとってしまっているケースです。
不要箇所を削除するだけで、驚くほど軽くなります。対処法は、こちらをご参照下さい。
なお、「エクセルだからファイルが重い」という論法になっていますが、大抵は1000ファイルのうち、重いのはせいぜい数個ではないでしょうか?
35年以上に渡って様々なExcelファイルを見てきましたが、1ファイルで10MBを超えるものは、そう滅多にお目にかかれるものではありません。
②「セキュリティ設定」の影響で、ファイルを開くのに時間がかかる
建前として、各ファイルにウィルス的な何かが付着していないか検査するという名目で、ファイルを開く都度内容を入念にチェックするしくみを導入する企業が増えています。
1つだけ導入する分には問題ないのですが、複数導入すると、互いに相手のセキュリティ設定を「危険な存在」と見なし、入念な検証を行い合うことで、何でも無い小さなファイルを1つ開くのにも、秒の単位で時間がかかります。
先日も某社でこうした相談があり、調査の結果複数のセキュリティ設定が原因であることがわかりましたが、会社の方針で遅くしているそうなので、従うしかないでしょう。
③「セキュリティ設定」の影響で、ネットワークが遅い
前述の②同様に、ネットワークを通過するパケット単位で、通過可否判断をしているため、仮想ネットワーク環境で複数のスイッチ(ネットワーク接続機器)を通過すると、極端に遅くなります。
先日某社で他のサービスと比較したところ、いずれも同様に遅くなる結果となりました。
「脱オンプレミス」でファイルサーバをクラウド化しよう、という不思議な流行がありますが、③の理由でクラウド化すれば速くなるとは限りません。
以上より、エクセルだからファイルが重いわけではない、ということがおわかり戴けたかと思います。