道具としてのExcel活用
脱「脱エクセル」のすすめ(2) ~共同作業ができない!?~
「エクセルは、共同作業ができない」は、本当か?
前稿の続きとなりますが、ちまたに「脱エクセル」という単語がアイコン化されている現状、Excel一筋25年の筆者としても冷静に状況を受け止める必要があると考え、「脱エクセル」の根拠としてあげられている「エクセルではできないこと」「エクセルの欠点」を検証して見ることにしました。
以下、「脱エクセル」側主張への見解です。
2.最新版がどれかわからない
恐らく、同じ内容を日単位などで「何かあったときのために」とっておく習性の方に限定したお悩みだと思われますが、更新日付を見ても最新版がわからなくなるくらい、大量なのでしょうか?
それとも、いつも違うところにファイルを保存する習性という前提なのでしょうか?
「脱エクセル」をウリにしたクラウドサービスの機能を見ると「変更履歴を保持し、任意の内容に戻せる」とあるので、結局これをやってしまうと「どれが最新かわからない」のは同じです。
なお、Excelでも、Windows標準のファイルの検索機能でファイルを探せるので、最新版の識別は可能です。
3.共同作業ができない
「1つのシートに複数名が同時に入力できない」のだそうですが、「共有」機能は古くからありますし、10年以上前から365の機能を使って安全・高速に共同編集ができるようになっています。
試しに、Tamsのファイル置き場にExcelのファイルをおいて選択し、開く→アプリから開く、を2人で同時に行ってみて下さい。
カーソルが2つ出てきて、相手が編集している内容がリアルタイムで見えます。これの何が便利かというとよくわかりませんが、共同作業はできています。
そもそも、1つのシートに全部をぶち込むこと自体、使い方に改善の余地があるわけで、通常は分散して管理した方が効率的です。
台帳の更新のような作業であれば、Azure(アジュール)やSQL ServerなどのDBと組み合わせないと、不具合時にリカバリができなくなってしまいます。
4.集計に時間がかかる
エクセルで作業日報などを記載すると、各人で様式がまちまちなので集計に時間がかかる、ということらしいのですが、さすがにそれは統一されているのでは・・・?
それこそ、各人がクラウドサービスの設定をまちまちにすると、いよいよ集計できなくなるので、「脱コンピュータ」するしかなさそうです。
とはいえ、確かに「各xxで様式がまちまち」なケースは多々あり、そのまま自動化しようと努力している方もいらっしゃいます。
そこまでハードルを上げずに、まずは、各人の様式を統一してはいかがでしょう?
Excelの機能(Powerpivot)を使えば、数百件のExcelシートの集計が、秒のオーダーで終わります。
また、前述のデータベース(AzureやSQL Server等)を使えば、集計そのものはDBがやってくれるので、その結果だけ受け取ればよい、という分担ができます。
なお参考までに、当社でPowerAppsを使って数件の作業時刻データの集計を試みたところ、分単位の時間がかかりました。