課題解決 事例紹介

パソコン無しで勤怠登録
職場に近づく/離れるだけで、自動記録

背景 出勤時にパソコンから時刻の登録を行っていたが、WindowsUpdateが始まるとなかなか終わらず、「遅刻」扱いにされるケースがあった。
方針 Updateが頻繁に起こり、しかも更新に時間がかかるWindowsの特性を踏まえて、パソコンからではなく、スマホを使って「職場に来たら登録」「職場から離れたら登録」のしくみを活用。
効果 パソコンを起動する時間に影響されず、出社時刻を把握できるようになった。

※以下は、当社で導入したものです

出社登録するパソコンが、起動しない!

WindowsUpdateが長引き、仕事ができない

当社では、出退勤時に勤怠登録システム(当然ExcelVBAで自作してます)を使って、当日行った作業別の記録を行っています。

システムを起動してボタンを押すだけなので、操作自体は簡単なのですが、月に1~2回ほどWindowsUpdate(自動更新)が行われるため、起動時に想定外の時間がかかることがあります。

更新プログラムにより思いがけず再起動が始まってしまう

一度WindowsUpdateが始まると、たとえ表示上99%完了となっていてもすぐに終わるとは限らず、下手をすると数時間待ちぼうけを食らってしまいます。これでは、勤怠登録どころか、仕事そのものができません。

「マーフィーの法則」ではありませんが、すぐに使いたいときに限って、長時間かかるWindowsUpdateがやってくるのが泣き所です。

対策その1:予備コンピュータを用意

すぐにできる対策としては、WindowsUpdateが始まったときに備えて、予備のコンピュータを用意しておくことです。

WindowsUpdate自体、一斉に開始されるわけではないので、組織内に複数コンピュータがあれば、順番に開始トリガーが引かれます。

この性質を利用して、たまたまWindowsUpdateが長時間化した場合に、予備のコンピュータを使って作業を進めてもらおう、と言う発想です。

当社の場合、客先にて利用する等を想定し、各社員に2台目のパソコン(ノート)を配布している他、古いパソコンも残してあるので、何かあったときには別のコンピュータを使う事が可能です。

しかし、この方法の泣き所は、予備だけに普段は使っておらず、下手をすると同様にWindowsUpdateの対象になってしまう(しかも、更新量が多い分、長時間かかる)点です。

このため、当社でも年に何回かは半日以上作業ができない事態に陥っていました。

また、あまり古いと今使っているバージョンのソフトウェアが動かない(特にブラウザを前提としたもの)ケースもあります。

普段利用されていないノートパソコン達

対策その2:パソコンに依存しない

すべての業務で「脱パソコン」というわけにはいきませんが、ものによっては代替手段がとれるので、パソコン以外のしくみで実現することで、WindowsUpdateなどでパソコンが使えないときのバックアップ環境を作れます。

当社では、スマホが社内のネットワークに接続した時に自動的に記録(Log)が残るしくみを導入し、少なくとも出退勤についてはパソコンに依存せず記録できるようになりました。

「持っているだけ」で、出退勤登録

スマホを使って、自動登録

ここで、当社が導入したしくみについて、解説します。

スマホ(スマートフォン)は、電話機として認識されていますが、正しくは「スマートな」電話機です。

スマートにはもともと「賢い」という意味があるので、電話機能だけでなく、様々な処理をしてくれる便利な電話、と言う意味で、スマートフォンと呼ばれています。

言い換えれば、少し前にはWindowsで動くスマホがあった(パソコン版のWindowsとは内容が異なりますが)くらいなので、高性能CPUとAndroidやiOSといった「OS:オペレーションシステム」、更に個々の目的を持つアプリケーションによって構成される、高性能なコンピュータです。

従って、理屈の上では、プログラムさえすれば、Windowsパソコンでできる処理は、スマホでもこなせます。

当社では、「無線LANネットーワークに接続/解除」を記録する機能を持つアプリを活用し、その結果をExcelのデータとして記録できるようにしました。

ただし、これだけだと、休憩時間に出入りした時に複数回記録されるので、そのまま勤怠処理には使えません。

無線LANへの接続/解除の記録

 

マクロを使って、エラーチェック & 出退勤集計

勤怠のデータは、1ヶ月分集計して給与計算を行う際に用いられます。つまり、月初にまとめて処理をすれば間に合うので、リアルタイム処理にこだわる必要がありません。

そこで、Excelのマクロ(VBA)を使って、個々の社員の出退勤(正確には入退室)記録のエラーチェックを行い、「入室時刻しかない」といった明らかにおかしいデータの検出を行います(事後手で補正します)。

更に、「朝来て、作業後2時間してからトイレに行き、昼休みに食事に出かけ・・・」といった入退室の記録から「最初に入室した時刻=出社時刻」「最後に退室した時刻=退勤時刻」にまとめて、1人=1行に集計します。

弥生給与に直接勤怠データを喰わせる

当社は、給与計算に「弥生給与」を使っています。

折角Excelマクロ(VBA)を使ってデータを集計したのに、弥生給与に手入力していたのでは、自動化の意味が薄れます。

そこで、集計した出退勤データを、弥生給与が処理できる形に変更し、処理後はファイルを読み込ませるだけで済むようにすることで、ほぼ全自動化(記録ミス等の補正は手作業として残しました)を実現できました。

スマホは従業員全員が使っているので、「持って出入りするだけ」で記録が完了するこのしくみは、いちいち記録しなくてもよいため、好評です。

入退室管理などへの応用に期待

同様のしくみを応用すると、特定の部屋の入退室実績が取得できるようになるため、例えば多数の会議室が有効に活用されているかどうかの検証などに応用が可能です。

このように、新しい発想で情報機器(特にスマホ)を活用することで、わざわざ人が意識して何かをしなくても、自然な流れで必要なデータを取得し、その後の加工によって必要な形式に落とし込むことが可能になります。