課題解決 事例紹介

【事例】経理の入金確認|請求漏れ・人的ミス防止策

事象 多くの経理現場において、入金確認(請求漏れ確認)処理が複雑で、時間がかかりすぎる。
原因 売上件数が多く、請求単位がバラバラ
入金経路が複数(銀行、クレジットカード、でんさい等)
同じ取引先から複数の入金がある
手作業での転記や確認が多く、ミスも発生しやすい
対策 まず「入金データの活用」と「突合ルールの整理」を行い、その後各工程を自動化する。

入金確認(請求漏れ確認)作業が複雑になる理由

経理部門で、最も時間がかかる業務のひとつが、入金確認(請求漏れ確認)です。「入金登録」や「入金消し込み」などとも呼ばれます。
売上件数が多く、入金経路も複数あると、入金確認作業は一気に複雑になります。

当社で扱うテーマの中でも比較的多い部類ですが、作業手順次第で大幅に単純化でき、中には手作業で3週間かかっていた作業が、同じく手作業中心で2時間でできるようにした実例もあります。
その秘密は、「入金データの活用」と「売掛金との突合ルールの整理」にあります。

 

なぜ入金確認はこんなに手間がかかるのか?

入金(請求漏れ)確認業務が複雑になる要因は、主に以下の通りです。

  • 売上件数が多く、請求単位がバラバラ
  • 入金経路が複数(各種銀行、クレジットカード、でんさい等)
  • 同じ取引先から複数の入金がある
  • 手作業での転記や確認が多く、ミスも発生しやすい

こうした背景から、確認資料が何重にも作られ、整合性チェックに時間がかかるのが実情です。

 

実はシンプル!入金確認の基本手順

入金確認は、「売掛金」と「入金額」を突き合わせるだけの作業です。入金を軸に、あらかじめデータを集計しておくと、簡単です。

入金消し込みのカンタン手順

以下のようなパターンに分けて考えると、整理しやすくなります。

パターン①:請求回数=入金回数

最も多いケースで、1対1で突合するだけです。

 

パターン②:請求回数>入金回数

複数請求に対してまとめて入金があります。未収金として処理し、次回入金で突合します。

入金消し込みのカンタン手順

パターン③:請求回数<入金回数

1請求に対して、分割して入金されます。未収金として処理するよう、ルールを統一します。

入金消し込みのカンタン手順

 

パターン④:請求金額 ≠ 入金額

→ 振込手数料などの差異。一定額以下は手数料とみなすルールを設定。

入金消し込みのカンタン手順

 

自動化のポイント:ルールを単純化しデータで突合

入金データを、データとして活用する

多くの銀行の入金データは「全銀協フォーマット」で取得可能です。
全銀協フォーマット以外に、個々の銀行で独自様式を採用しているケースもありますが、開発しているところが限られているため、実は様式の種類はそれほど多くはありません。
この他、でんさいやクレジットカードなども様式が異なりますが、いずれも「いつ、誰から、いくら入金した」の情報なので、統一様式に変換(標準化)可能です。

 

請求書から、売掛情報を取得する

売掛金は、請求時点で発生しています。
請求書から売掛情報を抽出。
Excelで作った請求書でも、請求情報のセル位置を統一すれば容易に集計可能です。

 

それぞれのデータを月単位で区切る

入金/売掛情報とも、当該月分として処理する単位で区切ります。
Excelなら、日付を元にフィルタをかけるだけで、自動的に絞り込みができます。

 

突合と会計ソフト連携

請求と入金を突合し、差分は未収金や前受金として処理(消し込み)します。
手作業だと最後に残る面倒な作業ですが、自動化すれば一気に時間短縮と人的ミスゼロを実現できます。

 

実際の自動化イメージ

過去に手がけた入金消込(確認)自動処理システムの例です。ごらんの通り、極めてシンプルな作りです。

入金消込処理の自動化(Excelで実現)

 

データ処理時の留意点

全銀協規定フォーマットの扱い方

最も多く使われるのが、全銀協規定フォーマットですが、規定されたのが何十年も前の、パソコン文化以前のもののため、「固定長」などの用語がとっつきにくさを増長しています。
要は、下図のようにファイルの1行目と、最後の2行が制御用のレコードなので、その他のデータ行(1行目=2で抽出)のみを処理対象とします。

全銀協規定フォーマットの扱い方

データ行は、下の表の構成になっていますが、使用するのは項番3,5,7,15です。
固定長なので、全銀協データを読込む設定をしたExcelシートを予め用意しておくとよいでしょう。

全銀協規定フォーマットの扱い方

 

請求データの扱い方

取引先毎の締め日を意識する場合、取引先マスタ(台帳)に登録しておくことで、何月分の請求かの情報を付加できます。

 

入金データの扱い方

同じ取引先でも入金経路によって表現が異なるケースがあるので、単一の表現に補正しておきます。

 

請求と入金の突合後の処理

取引先単位で、請求総額と入金総額を1:1で突き合わせます。
一致しない差分は「未収金」か「前受金」としてもう1行作っておき、次回処理時に改めて突合対象とします。

まとめ:入金確認の自動化は、まず「整理」から

複雑に見える入金確認業務も、ルールを整理し、データを活用すれば驚くほどシンプルになります。
まずは、請求と入金の突合ルールを明確にし、手作業の転記をやめるところから始めてみませんか?

現在の業務ルールが複雑で困っているのであれば、シンプル化のお手伝いもしています。相談は無料ですので、お気軽にどうぞ