お客様の声
関東化学株式会社は、昭和19年に設立した歴史のある総合試薬メーカーです。試薬、電子材料、臨床検査薬、化成品等の製品の製造販売を行っています。
今回お取引いただいたお客様は、病院等で血糖値や尿酸値などを測定するための臨床検査用試薬や、感染症の起炎菌などを検出するための培地や簡易スクリーニングキット等を製造販売する、ライフサイエンス部です。
血液検査や培地を中心とした検査薬を扱っていますが、これを使った乳牛の健康状態を分析するための手段を模索していました。
今回のシステム開発は、どのようなことを目的としていますか。
弊社の取り扱う血液検査用試薬には、乳牛の栄養・健康状態を評価する「代謝プロファイルテスト」に利用できるものがあります。
帯広畜産大学の木田教授が開発された「代謝プロファイルテスト(MPT)」と「診断支援の為のアルゴリズム」を発展させ、弊社のオリジナル仕様として検証を行ってきました。本システムを用いることで、獣医師が診断を行う際に役立つ支援情報が取得できます。弊社試薬の売上にもつながることから、この手法を広く普及させるには、誰もが容易に使えるしくみが不可欠と考えていました。
それは、一言でいうとどんなしくみですか。
乳牛の血液検査における、約 20 項目の測定値が、標準値に収まっているかを判断します。
逸脱している牛が多くみられるグループがあった場合は、分娩回数や年齢といった属性に偏りがないかをグラフで確認します。
また、複数の逸脱値の組み合わせで、想定される病気の診断を行い、病気の疑いのある個体については、具体的な診断レポートを表示するというものです。
それをなぜExcelで解決しようとしたのですか?
弊社のお客様である獣医師や研究者の皆様にとってExcelは必須アイテムであり、ほぼ全員が利用しています。
多くのお客様にご利用いただけるシステムを提供したいと考えた時に、誰もが使用可能であり、日頃慣れている環境であるExcelで実現できることが望ましいと考えました。
クレッシェンド社を選んで戴いたのは、なぜでしょう?
当初、曖昧で漠然とした要望を伝える事しかできませんでしたが、そこから提案頂いた完成イメージが分かりやすかったことが印象的でした。
想定される不具合の説明、その対処法など、多くの事例・経験に基づいたノウハウは、頼りになるのではと感じました。
開発~導入まで、スムーズに行きましたか?
多数のデータのグラフ化を行うにあたり、最優先事項は「見やすさ」であり、グラフ上の異常値箇所から特定の個体を特定する機能を考えていたのですが、出力イメージ資料を確認した時点でがかえって見づらいことがわかり、機能を断念した場面がありました。
また、グラフの表現方法も当初の仕様から変更したこともあり、試作と確認を何度も繰り返すことになり、確認作業は長期に渡りました。
しかし、クレッシェンド社は機能や最終レポートのイメージを確認資料として送ってくれたので、開発期間は長引きましたが、実際に導入する際にはスムーズに行えました。
導入後、どのような点が改善されましたか。
従来使用していた類似の診断ツールは、研究機関でのみ使用され、汎用性のない物でした。
今回Excelで仕組みを作ったことで、機能に「試供モード」を持たせ、弊社のお客様に無償のサービスツールとして配布することが可能になりました。
「試供モード」では結果が保存できないなど一定の制約はありますが、グラフ化などの本システムの特長を実感できますので、「代謝プロファイルテスト」の一層の普及につながることを期待しています。
まだ導入直後のため、直接の売り上げにはつながっていませんが、ご利用になられた獣医師の方々からは、きめ細かい指導が行えるとのお言葉をいただいております。
今後の展望をお聞かせ下さい
今回導入したしくみ(Excelによるシステム)は、汎用性のある検査記録をもとに診断するものなので、獣医師への診断支援だけでなく、大学での講義や研修会等の研究・教育の場においても利用価値のあるものと確信しています。
乳牛の乳生産量の向上に貢献されている獣医の皆様、或いは未来の獣医師達にご利用いただくことで、酪農業界全体の生産性の向上に繋げていければと考えています。