お客様の声

なじみのあるExcelで、多角的・対話的に行う業務の効率化

ご担当者様

株式会社朝日工業社は、空調衛生設備工事に特化した建設会社であると同時に、精密環境制御機器の開発・設計・製造も手掛けるメーカーとしての特性ももつ大手サブコンで、1925年の創業以来100年を迎えようとしています。

今回の案件は、働き方改革や業務効率化の観点から、営業部門の日常業務で大きな負荷となっていた見積書の分析資料作成の効率化を目指したものです。

様々な切り口での分析に柔軟に対応することが可能で、対話形式で操作者の意図を引き出せるような工夫を施してます。

対象となった業務の概要について、ざっくりとご説明戴けませんか?

弊社は建設業ですが、顧客である施主やゼネコンに見積書を提出した後、契約に至るまでに各種調整業務が営業活動のピークとなります。
この間に見積明細を要素ごとに分解し、品目ごとの採否の決定や価格調整を経て再集計する作業が何度となく繰り返されます。
この一連の作業が今回の対象業務です。

費用をかけてもシステム化しようと思った動機は何でしょうか。

従来より営業担当者ごとの工夫でExcelを活用していましたが、ここ数年は案件の大型化に伴い、取り込む明細が数千行に及ぶこともあり、資料作成の作業負荷の増大が課題となっていました。
また各自各様のやり方では、計算結果の信憑性の確保もおぼつかず、こういった課題を解決する目的でシステム化の検討をはじめました。

システム化を図るのであれば、他にも様々なクラウドサービスやパッケージソフト等の選択肢が存在すると思いますが、敢えてオーダーメイドで開発しようとしたのは、どうしてでしょうか。

当該業務は、広く一般企業で行われるような業務内容ではないので、パッケージソフトで対応できるような汎用性はありません。
また、ボタンを押せば答えが出せるようなものではなく、切り口を違えながら繰り返し試行錯誤する必要があったことから完全自動化は難しく、オーダメイドのツールが必要と考えました。

システム化する場合、一般的にはブラウザを使ったWebシステムやサーバを使ったクライアントサーバ化を図ることが多い中、敢えてExcelをそのまま活用する方針とした意図をお聞かせ下さい。

基幹系のシステム開発では、勘定系(会計などお金の流れの管理)のように決まった手順で大量に処理をし、正確な結果と高速性が求められます。
本業務はこうした定型的なものとは異なり、要件や求められる機能も柔軟に変わっていくことを求められるため、早く、安くがコンセプトであり、仕様変更があった場合はスクラップ&ビルドでよいと考えていました。
その点、Excelでシステム化すると、短期に安価で仕組みが作れる上に、本業務では日頃から最も馴染みのあるツールなので、これを発展させることで、即全店で活用できると考えたのです。

パソコンに不慣れな方も使うことを考えると、それまで馴染んでいたものがそのまま使えるのは安心ですね。
ところで、今回開発依頼を戴いたシステムは、一言でいうとどのような特徴をもったものと言えますか。

はい、今回対象となった業務は、対人での価格交渉が中心であり、自動化できるものではありません。
一方で、計算に依存する要素が多いことから、結果に至るまでの準備やシナリオ作りを「補助できるツール」と位置付けました。
だから画一的に全工程をサポートするというのでなく、様々な切り口で何度もシミュレーションしながら作業することを前提として、それらを「最小公倍数」的にサポートしようと考えたのです。

なるほど、システムで支援するポイントを絞ったわけですね。
Excelでオーダーメイドシステムを作るという、一般常識的とは言えない方針をとったわけですが、Excelだから当初構想をあきらめた点や、逆にメリットを享受できた点などがあれば、教えて下さい。

Excelは誰でも使い慣れたツールですが、マクロ(注:VBA)などは使ったことがありませんでした。
作業工程を標準化して、通常のアプリケーションソフトと同じような入出力プロセスを組み込むことで格段に処理が簡単になり、誰でも使えるツールになったと思います。

元のやり方が人それぞれでしたから、標準化により共通ルール化されたメリットも大きかったと思います。
今回のシステム化にあたって、苦労されたのはどのような点ですか

う~ん、特に苦労らしい苦労はしませんでしたが、やりたいことが色々出てくる中で、できるだけシンプルに作って汎用性を高めるため、むしろ余計な機能を削ぐことを常に意識していました。
御社にもその観点が共有され、設計上のアドバイスを頂けたのは大変良かったと思ってます。

ありがとうございます。構想段階から関われたことによるメリットが活きたのだと思います。
こうしてかなりシンプルにまとめる事ができたわけですが、シンプルに作るのであれば、標準化以後、自社で内製しようという流れにはならなかったのでしょうか。

マクロを活用して処理を行えるようにするノウハウがありませんでした(笑)。

今回システム化したことで、どんな効果が出ていますか?

はい、今回のシステム化により、業務そのものが早くこなせるようになり、何より人的ミスが減りました。利用者からとったアンケートでは、体感で7割弱の業務削減効果があったという結果が出ています。

今後の展望についてお聞かせください

弊社はまだまだ従来型の社内システムが中心ですが、今後はユーザーに近い領域から段階的に、汎用のパッケージ等を活用する流れにあると思います。
営業支援の領域もその流れの中で、「早く、安く、だめになったらスクラップ&ビルド」のコンセプトで、業務内容に合わせて、スピード感を持った対応をしていきたいと思います。

ありがとうございました。