道具としてのExcel活用

@Excelからデータベースを有効活用する情報システムの開発

Excelは多くのビジネスマンに使われているデータ管理ツールですが、大量のデータを高速かつ安全に運用するには、データベースと連携した情報システム化が不可欠です。

Excelをフロントエンドとして活用し、データベースと連携することで、より高度で柔軟な情報システムを構築することが可能です。

1. Excelとデータベースを連携させるメリット

Excelとデータベースを組み合わせることで、以下のようなメリットがあります。

  • 大量データの管理が容易:データベースに保存されたデータは効率的に検索・抽出できるため、Excel単体での作業よりもはるかにスピーディーです。
  • 複数名が同時に利用可能:複数のユーザーが同時にアクセスしても、データベースを通じてデータの一貫性が保たれます。
  • 分析とレポート作成の強化:Excelのピボットテーブルやグラフ機能を活用して、データベースから取り込んだデータを簡単に可視化し、分析や報告に活用できます。

 

2. Excelからデータベースに接続する方法

Excelを使ってデータベースに接続する方法には、いくつかの選択肢があります。以下の手順でデータベースからデータを取得し、Excel上で活用することが可能です。

ODBCを使用した接続

ODBC(Open Database Connectivity)を使用してExcelからデータベースに接続する方法です。ODBCドライバーをインストールし、以下の手順で接続を行います。

  1. ODBC設定を行う
    コントロールパネルから「ODBCデータソース管理」を開き、新しいデータソースを設定します。
  2. Excelでデータをインポート
    「データ」タブ > 「外部データの取得」 > 「ODBCデータソースから」を選択します。接続情報を入力し、データをインポートします。
  3. データの活用
    インポートしたデータをピボットテーブルやグラフで分析し、ビジネス上の意思決定に役立てます。

 

Power Queryを使用した接続

Power Queryは、Excelでデータのインポート、変換、統合を行うための強力なツールです。以下の手順で、Excelからデータベースに接続します。

  1. データソースの選択
    「データ」タブ > 「データの取得」 > 「データベースから」を選択し、接続するデータベースの種類(SQL Server、MySQLなど)を選びます。
  2. 接続情報の入力
    データベースのサーバー名や資格情報を入力し、接続を確立します。
  3. データのクレンジングと変換
    Power Queryエディタでデータを整形・フィルタリングし、必要なデータだけを取得します。

 

VBAを使用した接続

VBA(Visual Basic for Applications)を使用することで、Excelからデータベースに対する処理(追加・修正・削除)を実行することが可能です。

可変要素が多い場合は、このようにプログラム(VBA)を活用することになります。

  • サンプルコード: VBAでSQL Serverに接続してデータを取得する例
Sub ConnectToDB()
Dim cn As Object Dim rs As Object
Dim sqlStr As String
   Set cn = CreateObject("ADODB.Connection")
Set rs = CreateObject("ADODB.Recordset")   cn.Open "Provider=SQLOLEDB;Data Source=SERVER_NAME;Initial Catalog=DATABASE_NAME;User ID=USER;Password=PASSWORD;"
sqlStr = "SELECT * FROM YourTable"   rs.Open sqlStr, cn   Sheet1.Range("A1").CopyFromRecordset rs

   rs.Close
cn.Close
Set rs = Nothing
Set cn = Nothing
End Sub

 

3. 情報システム設計時の、Excelとデータベースの役割

Excelとデータベースを組み合わせた情報システムを開発するには、以下を考慮することが重要です。

設計ポイント 説明
データの一貫性と整合性 データベースを利用することで、データの正確性を保ちながら多くのユーザーが同時に使用可能にする。
パフォーマンス最適化 データの量が増えた場合でも、Excelでの操作を高速化するために、効率的なクエリやキャッシュ戦略を利用する。
セキュリティの確保 Excelファイルやデータベースのアクセス制御を適切に設定し、機密データの漏洩を防ぐ。

 

4. Excelとデータベースの連携で実現する業務改善例

  • 販売データの分析:Excelで定期的にデータベースに販売データを登録。必要な時にこれを取得し、売上の推移や商品別のパフォーマンスを可視化。
  • 在庫管理システムの構築:在庫情報をExcelで目視後にデータベースに登録。在庫状況などもリアルタイムに把握。例外要素も吸収可。
  • 顧客情報の管理:Excelを媒介として、データベースに格納された顧客情報を検索~目視~修正~更新。
  • 予実管理システム:Excelで作成した将来の売上目標などの数値と、過去の実績数値を比較し、予測の精度を徐々に高める。
  • 精算管理システム:Excelで作成した半年分のフォーキャスト(生産計画)に対して、在庫の増減をシミュレーションしながら、何をいつ調達するか、製造ラインのどこを割り当てるか等を計画する。
  • 経費精算:全社の社員が、任意のタイミングで経費の精算請求を登録し、一定のルールでチェック後、人の目でチェックをして、会計システムにデータを流す。

 

まとめ

Excelとデータベースの連携により、Excelでは処理しきれない大量のデータを高速で処理することができるため、業務効率化や競争力を高める情報システムのが実現できます。ODBC、Power Query、VBA(マクロ)などを駆使して、Excelをフロントエンドツールとして使いながら、強力なバックエンドのデータベースと連携することで、データ管理と分析の力を最大限に引き出すことが可能です。この組み合わせにより、業務プロセスの改善や意思決定の迅速化が期待できます。

Excelとデータベースを連携させることで、大量のデータを高速に処理し、業務効率化や競争力の向上が可能となります。ODBC、Power Query、VBAなどを活用し、Excelをフロントエンドとしてデータベースと連携することで、効果的なデータ管理と分析が実現し、業務改善や迅速な意思決定が期待できます。

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