道具としてのExcel活用
突然マクロが使えない(3) マクロ付きExcel授受の解決法
セキュリティリスク このファイルのソースが信頼できないため、Microsoftによりマクロの実行がブロックされました [詳細表示] への対処法
前回の記事では、「このファイルのソースが信頼できないため、Microsoftによりマクロの実行がブロックされました」の対策についてお話ししました。
マクロが使えない、動かない場合について原因や解除方法をお伝えしてきましたが、結局のところファイルの受信側が一手間かけないと使えないということになります。
自社内であれば共有サーバを信頼できる場所として登録したり、メールでの授受であっても社内ルールで通達することはできますが、社外である取引先様とのファイル授受では、受け取った側に「プロパティのここにチェックを…」などとお願いしても、やってもらえるかはわかりません。
ファイルの受信側に何らかの操作をお願いするのは、あまり良い手段ではないでしょう。
しかし、どうしても社外とマクロ付きExcelのやり取りをする場合と言うのはあります。
そのような時に送信側のほんの一手間で、かなりスムーズにファイル授受できるようになる場合があります。
マクロ付きExcelをzip化
送信側のほんの一手間とは、マクロ付きExcelをzip化(圧縮)して送るという方法です。
え!?それだけ!?と驚いてしまうような方法ですが、zipファイルそのものにMOTWがマークされても、その中のファイルにはMOTWが引き継がれない環境があります。
受信側が7-Zipというソフトを使用して解凍した場合、7-Zipがv22(2022年のリリース)以前のものであれば、MOTWの情報を引き継ぐ機能がありません。
その為zip化された中のファイルにはMOTWが付与されず、セキュリティチェックに引っかからずにマクロ付きファイルを動かすことができます。
また、v.22以降であっても、設定の「Propagate Zone. stream:」という項目を「いいえ」に設定されている場合は、MOTWが引き継がれる機能が動いていません。
余談ですが、本記事の執筆時点で私が使っている7-zipはv.19でした。2019年にリリースされたものです。
インストール後、バージョンアップが自動更新でされるものではない為、受信側が7-Zipをv.22以前に使い始めている環境であれば、zip化するだけで余計な一手間を受信側にお願いする事なくスムーズなファイル授受が出来る可能性があります。
受信側の環境次第なので確実な手段ではないのですが、試してみてはどうでしょうか?
最新版とセキュリティ
古い7-Zipならば…という話なので、「最新版で対策されているセキュリティを無視するなんて!!」と思う方は多いと思いますし、古いバージョンの解凍ソフトを使ってる取引先は信用できないと思うかもしれません。
どんな商品やソフト、サービスでも最新版でセキュリティ対策を強化されている物の方が安心ですよね。
しかし、その「セキュリティ対策」って一体何なのでしょうか?
セキュリティについては過去記事でお話したことがあるのですが、そもそも情報をがんじがらめに守る事(機密性)だけがセキュリティではありません。
利用者がいつでも使える事(可用性)もセキュリティです。
自分のお財布、普通口座、銀行の貸金庫のどこにどんなお金を入れるかは、機密性と可用性のバランスをどうとっているかイメージしやすいのではないでしょうか?
有価証券をお財布で持ち歩くことはないですし、日々の生活費を貸金庫に入れることもありません。
取引先のセキュリティポリシーでは、機密性と可用性のバランスを見てMOTW対策を不要と考えているのかもしれないです。
セキュリティ対策ががちがち過ぎて、かえって使い勝手が悪いというケースは、様々な場所で見られます。
せっかくの機会ですので、自社のセキュリティポリシーについても考えてみてはどうでしょうか?
マクロが急に使えなくなった、動かなくなった場合の原因と対策について3回に渡ってお伝えしてきました。
マクロが動かなくなってしまった場合、まずはどこに問題があるのかを確認してみることから始めてみてください。