事例紹介

中小企業診断士が勧める、中小企業のためのRPA導入戦略

改めて、中小企業の強み/弱みについて

「中小企業」というと、何となく人数が少ない企業のイメージがありますが、日本においては中小企業基本法において定義があります。

まるっと要すれば、製造業・小売業などの業態により、資本金・人数による定義が異なります。

例えば、製造業の場合は、「資本金3億円以下 or 従業員数300人以下」ですので、上場している中小企業があっても不思議ではありません。

いずれにせよ、所謂大企業=大人数、中小企業=少人数という認識は、あながち間違っておらず、諸外国では概ね人数だけで中小企業の定義をしています。

※余談ながら、日本に中小企業が多いのは、諸外国との定義の差が大きいといわれています。

人数が少ない組織の強みといえば、なんと言っても即時性です。外部の刺激に対してすぐに意志決定し、行動に移せるということです。

逆に弱みとなるのは、人海戦術的な展開を要する場合のリソース不足といえます。

情報システムやIT(本来の)を活用すれば、人数は必ずしも必要が無いため、即時性をフル活用することこそ、中小企業の強みと言えましょう。

 

中小企業が強みを発揮できる効率化・自動化とは

業務を自動化できると、そこに張り付いていた人員が余るはずです。元々人が余っている組織で効率化だけしても、余る人が増えるだけで、却って余計な仕事が増えてしまうことがあります。

一方、そうで無くても人手不足感の高い中小企業では、人が余ったら「今までやりたくでもできなかった業務」、例えば新分野への進出、新規顧客の開拓・・・などに取り組めるようになります。

ともすると、はじめにRPA(ロボットによる自動化)ありきで話が進みがちですが、長期的視点で競合他社に対して優位に立つための方策(=戦略)を考えると、少ない人数でどれだけのことをしたいかがはじめにあって、そのために必要な人員を採用するのか、今居る人員から割くのかで大きく分かれます。一般論としては、今の業務を少人数でこなし(=省コスト化・高速化)、会社のことをよく理解している人が新業務を開拓する(=市場拡大)方が、有利です。

そのためには、全く新しいしくみを取り入れるよりも、「今使える道具の延長でできることを探る」ことが、実は重要です。

 

Excelから初める「RPA」の敷居の低さ

RPAの定義にも色々あるようですが、Wikipediaによれば、プログラミングを要せず、記録したプロセスを繰り返し実行できるしくみ、ととらえています。

このような視点であれば、Excelで「自動記録」をさせた結果は、れっきとしたRPAであり、多少プログラミングをかじってみれば、大きくカスタマイズもできる優れものです。

日常業務の多くをExcelでこなしている場合は、まずこの身近な道具をRPAとして最大限活用するだけで、大きく効率化が図れます。

 

Excelの苦手なこと、RPAにできないこと

最近のExcel関数が進化を遂げた結果、関数だけでYahooから株価を取得するなどという芸当ができるようになっています。関数に慣れていれば、設定に十数秒ですが、RPAで同じ事をしたければ、設定だけで何時間です。

とはいえ、「ブラウザで日付範囲を指定して売上実績データを取得する」ような作業は、Excelだけで処理するには限界があります。

このように、どちらがよいかではなく、両方の得意分野を組み合わせることで、使い勝手の良いしくみが作れます。

具体的には、まずExcelのマクロ記録からスタートし、徐々にちょっとした修正ができる程度のマクロ(VBA)の知識を習得して高度化した後、いよいよExcelでは手に負えない部分はRPAで補う、という方針です。

こうすれば、最短距離・最小コストで、柔軟性の高い自動化のしくみが構築できます。

 

お勧めは、同じMicrosoft社のRPA 「Power Automate」

「表計算ソフトはどれがよいか」で迷う人は小数ですが、これは選択肢が限られているからで、事実上ExcelとGoogle スプレッドシートのどちらかの両天秤となるのではないでしょうか。

一方、「RPAはどれがよいか」となると、製品が膨大に存在している上に新製品まで次々に登場している現状、スタンダードを選択できません。

目先の価格だけで選ぶと、3年後にはサービス停止になっているかも知れず、折角作ったRPAが無駄にならないためにも、末永く残るものを選択すべきでしょう。

そんな中、お勧めはといえば、過去に出した製品については長期間に渡って互換性を維持しているMicrosoftが出したRPA、「Power Automate」「Power Apps」といった「Power Platformシリーズ」です。

そんなサービス聞いたことが無いという方も多いでしょうが、原型は「Microsoft Flow」など別の名称だったものを統廃合し、Microsoft365シリーズの中で再定義された、意外と歴史のある製品群です。

 

Windowsの操作全般が自動記録可能なRPA

実際に作ってみたところ、広範囲なWindowsの操作が可能になっており、実際に行った操作をそのまま記録してくれる他、ちょっとしたカスタマイズもできるようになっています。

しかも、内部の定義は他社と互換のあるオープンな企画(JSON等)を採用しており、少なくともこの製品のためだけに「特殊な世界の秘密の言葉」を覚える必要はなさそうです。

Power Automate Desktop 画面イメージ

 

 

「Excel」メニューからExcelを操作。ExcelからもRPAを操作可能。

この「Power Automate」ですが、標準メニュー内に「Excel」メニューが存在します。

Power Automate Desktop 画面イメージ (Excel関連)

これにExcelのマクロを組み合わせれば、細かい処理はExcelマクロ側で吸収できるので、便利です。

一方、Excelからも「Power Automate」(旧、Microsoft Flow)と連携できる機能が追加されています。

ExcelからRPAを操作する機能

このように、同じMicrosoft社の製品同士のため、双方の親和性が高いのです。

 

この他、いつ消えて亡くなってしまうか分からない心配は、少なくともなさそうです。

 

中小企業こそ、短期で効果を出すべき

幸い意志決定の早さに特徴を出しやすい中小企業ですから、多少の想定外事態に陥っても迅速に軌道修正ができます。

この特質を最大限活かして、短期間で確実に自分達で運用できる効率化のしくみを構築し、余った人員で市場開拓なりマーケティング活動なり新商品開発なり、新しい取り組みを模索するのが、長期的な企業価値を高めることにつながります。

もちろん、全て自分でできるとは限りませんから、必要に応じて外部リソースを活用するべきでしょう。

当社の「身の丈に合わせた導入経験」も、きっとお役に立てるはずです。