課題解決 事例紹介

取引先ごとに異なる多種類のレポートを、Excelで短時間で作成

導入目的 同一目的のサービスだが、クライアントごとに異なる多種類のレポート作成が求められている。
課題 クライアントの入れ替わりが激しく、毎年クライアントが変わる
契約からサービス開始までの期間が短期間のことが多い
効果 データベースの採用と、標準化の結果、短期間でのシステム改修対応が可能
また、様式の微調整はお客様自身で対応が可能

対象業務概要

D社は様々な会社がサービス提供している、電話医療相談サービスの対応を、代行しています。
代行業務の内容については、クライアント毎に指定された様式で結果報告レポートを毎月Excelで作成し、提出しています。
しかし、レポートの種類が多いことから、作成に多くの人員と時間を取られており、たまに作業ミスも発生しているようです。

ご相談内容

当該業務は、クライアントが異なってもほぼ同様のため、格納する形式を揃えてある程度標準化してあるため、基になるデータは共通です。
ところが、クライアント毎に求められる結果報告のレポート様式・内容が極端に異なるため、「A社のしくみをB社に転用」といったことができません。
このため、月初はレポート作成に数名の社員が張り付いて10日近くを要していました。

こういった医療相談は看護師や医師を多く集めて代行会社にて行うのが一般的なのですが、
ライバル会社と入札して年単位での契約を行うケースや、新しく医療相談サービスを提供したいクライアントの参入など、
クライアントの入れ替えが激しいサービスです。
毎年、次年度のクライアントが決まり次第、レポート作成のための準備をするのですが、
基本となるサービスが同じとは言え、各クライアント毎にレポートに必要な情報が異なります。
サービス内で案内する情報は当然変わりますし、症例ごとの案内数を求めるクライアントもあれば、
利用者の属性を使用して、居住地ごとの集計値を求めるクライアントもあります。
利用者の属性を「年齢」で知りたいのか、「年代」が分かればいいのかといったような、細かな指定もクライアントによって様々です。
各クライアントに合わせたレポートの作成システムを用意したいと考えたのですが、
クライアントが毎年変わるため、個別のシステムを用意するのは現実的ではありません。

このように、そうでなくても面倒な作業を要するのに加えて、短時間で新しいクライアントへの対応が求められるため、現場は混乱していました。

当事者が考えた原因・対策

クライアントごとに多種類のレポートを作成する部分は、今まで通り事務員がExcelで行うことにして、
せめてレポートの元ネタである、対応内容の個別データを集計する部分はシステム化しようと考えました。
しかし、クライアントが求める項目がそれぞれ異なる為、入力画面をクライアント別に用意する必要があります。
入力画面と集計ツールをそれぞれクライアント別に用意するのでは、時間もコストも削れそうにありません。

当社が提案した対策

レポートの表現が大きく異なるとはいえ、個別要素を見ていくと、共通する要素も少なくありません。
こうした共通要素については、クライアントに融通してもらうよう交渉するなどして、
新規作成時の負荷を半減以下にできそうな目処が立ちました。

そのためには、まず前提として基になるデータを「標準化」することで、多少なりとも似通った表現を再利用しやすい環境を作るのが最善との判断に至りました。
標準化という言葉は馴染みのない人が多いと思いますが、異なる業務間/顧客間/サービス間・・・で互換性を持たせることで、
多少のカスタマイズをすれば各クライアントへの個別対応が容易になります。
「標準化」と言葉にするのは簡単ですが、実際に設計するには多くの経験や知識が必要となる為、当社でも経験豊富なSEが現場の声を取材する方針となりました。

対応策

まずはD社が今まで蓄積していた過去の事例や、実際にクライアントと話す営業社員の意見をくみ取り、
システム部はどこまでメンテナンスが可能かといった運用まで考えたうえで、今求められているだけではなく、
将来的にある程度の変更が起こっても吸収できることを考え、入力画面と集計ツールを設計しました。

クライアントによっては、単月ではなく年度累計の資料が求められるため、扱うデータ量も当初想定の10倍以上となり、
中長期的には年度間比較も出てくることが予想されることから、Excel単体では処理ができないとの結論になりました。
このため、バックグラウンドにDB(データベース)サーバーを持たせ、主な処理はDB側で行うことで大量データを高速処理する方針としました。

また、DBに格納するデータや、画面表現を指針化するといった「標準化設計」を取り入れることで、
新規受注クライアントに合わせるための改修期間は1~3週間で間に合う目処がつきました。
サービス開始後にクライアントからレポート様式の微調整を求められることが多かったのですが、
汎用的なExcelとDBMS(SQL Server)を採用したことで、D社のシステム部が自社内で対応できるようになりました。

結果

実際に稼働後は、新しいクライアントへの対応は1つあたり1~3週間でできるようになり、複数の新規クライアントが加わっても慌てずに対応できています。
更に、DB(データベース)に処理を任せたことで、多種類かつ大量のレポート作成も、一晩で全て(自動で)終わるようになりました。
また、3年ほど運用する仮定でD社のシステム部門が運用に慣れ、全てのカスタマイズを自社内でできるようになりました。
DBMS(データベース管理システム)を使っているため、臨時で分析したい要望があっても、1~2日で対応が可能です。

こうして、少ない人員でも業務が廻るよう、標準化とシステム化が行われた結果、作業の高速化・正確化が実現できました。