道具としてのExcel活用

「すごい高度な機能」を使えば、問題解決はできるか?
~ よくある、目的と手段の混同 ~

超絶機能システムの、問題解決度

高度機能と問題解決力は別問題

情報システムにありがちな落とし穴「高度な機能」

情報システムに限らず、機械類にも言えることですが、「ものすごい高度な機能」が問題解決に寄与するかといえば、必ずしもそうではありません。

むしろ、90年代以降の日本の家電メーカーの製品を見ればわかるように、確かにものすごい高度な機能が付いているのですが、何が便利かさっぱりわからない消費者の方が多かった結果、安くてわかり易い機能に絞った隣国製品に市場を持っていかれてしまいました。

このように、作る側が満足しがちな「高度な機能」「すごい機能」は、大抵の場合、問題の解決につながりません。

なぜでしょうか?

 

戦略の不利は、戦術では補えない

戦術とは、ある短期的な勝負において、勝敗を決める要素です。これが100m走であれば、短距離をものすごく早く走れる選手を用意すれば、勝てます。

一方、戦略とは中長期の勝敗を決する方針です。100m走で勝てても、他の種目で勝てなければ、オリンピックの強豪国にはなれません。

「超絶機能」を例えれば、100mを8秒台で走れるような選手を擁立したものの、球技やマラソンでは勝てなかったようなものです。全ての競技でスーパースターを擁すればよさそうですが、新しい競技(環境変化)には耐えられません。

一方で、大局を見ていれば、捨てるべき競技と勝つべき競技を見極めて、メダルの総数を最大化するような方策をたて、選手の育成から実戦でのフォーメーションに至るまでの計画を立てておく方が有利に決まっています。100m走の選手がどんなに頑張っても、挽回できる範囲を超えています。

 

とどのつまりは、「道具の使い方」次第

道具の性能 vs 使いこなし

「強力な武器があれば、勝てそう」という感覚は分からないでもありませんが、結局は道具の使い方次第です。

バイク便で成功している企業がある一方でダンプトラックを持つ運送会社が倒産していたり、ハイテク機器の開発メーカーが操業後に苦戦しているケースを見るまでもなく、結局は使い慣れた道具で結果を出せれば良いことが分かります。

最初にすべきは、大局をみた作戦立案

「使い慣れた道具」としては、すぐに無くなってしまうような技術基盤でなければ、大抵10年単位で活用できます。

結果を出すためには、先の「オリンピックで獲得メダル数を最大化する」ような方針に基づき、作戦を練る事が重要です。

情報システム開発では、要件定義と呼ばれる工程こそ、こうした情報戦略立案とそれに基づく作戦立案に相当します。

「すごい機能」もいいですが、今一度「何のために」を振り返ってみてはいかがでしょうか。