事例紹介

特殊な請求業務の自動化支援
~ 業務診断で、すぐに見つかる改善ポイント ~

背景 請求データに不足する情報は、他組織管理のWebページで補完。
請求が3回分溜まると初めて請求できるルールのため、請求対象社の抽出のために件数を数える作業も重い負担に。
当初方針 ・Webページは印刷してOCRで自動化
・件数のカウントができる関数を探している最中
改善方針 ・Webページはそのままデータとして活用 ・件数のカウントはPivotテーブルとMOD関数で抽出

3回分ごとに請求する、特殊な請求処理

ご相談の経緯

P社の請求処理は、かなり特殊と言えそうです。

というのも、請求自体は本部でまとめて行うのですが、その際送られてくる請求情報が、基幹システムの仕様の関係で相手先情報の一部しかないため、残りを他の情報源から補完する必要があります。その情報源にしても、異なる組織がイントラネットで公開しているWebブラウザに表示される情報です(csv等での外出しができません)。

加えて、請求コストを下げるため、実際の請求は3回分をまとめて1回で行うというもので、履歴の把握が必要です。

こうした事情から、P社の請求は限りなく人的作業でしたが、人的ミスの懸念などから社内でプロジェクトチームを作り、対策を練ってきました。

しかし、全体的に時間がかかる傾向は相変わらずです。

 

社内で見当し、一部は自動化したものの・・・

真っ先に手を付けたのは、情報の補完作業です。

Excelに長けた社員が、あるコード番号が共通しているので、別シートに一覧化すればvlookup関数で突合できることに気がつきました。そこで、Webブラウザに表示されている内容をExcelに持ってこようとしたのですが、1社分ずつ表示してコピペしていたのでは、人の作業が増えるばかりで本末転倒です。

そこで、一度印刷したものをOCRにかけて文字化して使う事にしました。

この改善により、Webブラウザ情報を取り込める様にはなったのですが、スペースの半角/全角の違いや、長音(ー,-)などの混在が残るため、結局のところ人手で修正をせざるを得ません。

更に困ったのが、「3回分をまとめて請求」の部分でした。毎月送られてくる請求情報は、あくまで該当月分であり、履歴ではありません。従って履歴として別に自分達で保管しておく必要がありました。

一方、「3回分」に相当したら、その分は消去しなければ多重請求に繋がりますし、「3回分を請求した結果、1回分が繰越し」ということも考えられます。

加えて、同じ会社名が複数ある場合があるため、結局のところ1件ずつ目で見てカウントするしかない、というのがこれまでに至った結論でした。

 

当日、その場でできた、改善対応

まずは不足情報補完方法の見直し

不足する情報を他のファイルから引用するのに、vlookupを使う視点は正しいのですが、その元になる情報を作り出すのに、一度印刷(=アナログ化)した上で、OCRで文字化する(アナログ→デジタル変換)しているのが気になります。変換が確実に行われるのであればまだよいのですが、手で補正しないと行けないという時点で、人的ミスを0にできません。

そこで、OCRで文字化するのではなく、WebページをそのままHTMLファイルとして保存(もしくは各シートにそのまま貼り付け)することで、全て同じ形式として処理できるようにした上で、(これはマクロを使いますが)1行=1社に変換してやれば、そのままvlookup関数で処理できる様になります。全てデジタルのまま処理をしているので、データの欠落や人的ミスが原理的に起こりません。

当面は、ブラウザから直接全体をコピペする部分は人が行うことでかなりの効率化が期待できそうなことから、OCRが不要になりそうです。

 

件数のカウントを自動化

続いて、同一請求先への請求を、3回分ごとに1回行う処理の自動化の検討です。

現状、同名企業でないことを確認するために、住所情報を併せて見ています(目視・・・補足する情報の1つが、これです)。

予め請求先社名が分かっていれば、counta関数などでもカウントできるのですが、毎月新しい請求先が増え続けている現状を鑑みると、「請求先候補リストを作成する」といった新たな作業を作りたくはありません。

そこで、Pivotテーブルを使って会社+住所で名寄せし、件数をカウントすることにしました。前提として、現状3回分ごとに使い捨てとなっている履歴リストを全期間分保持し、3の倍数になったときが請求対象と判別するできるようにします。

続いて「3の倍数」の判定ですが、別の言い方をすれば「3で割り切れる数」ということになりますから、MOD関数を使って「余りが0」をフィルタで抽出すればよい、ということになります。

 

その他、ご相談事項

この他、vlookup関数を使って引用したいのに、うまく値が取得できないので頭を抱えているという「作りかけのエクセル」に対して、元となるデータの整備方法を変更しただけで動く様にしたり、加工手順の入れ替えで手順数を減らすなど、その場で対応できる改善が複数できました。

 

わずか1日の業務診断だけで、大きな改善

P社では、自社内で改善プロジェクトを作って、既にある程度の業務改善が進んでいました。

しかし、同様の価値観の人が集まっていることや、普段からパソコンを使い慣れているわけではないことなどから、手段として思いつくことに限りが有ること、またExcelの使い方に慣れていないこともあり、教科書的な改善方針となっていました。

そこに、外部の視点を持つExcel業務経験の豊富な当社スタッフが関与したことで、考え方の前提から異なる提案が可能になりました。

従来の改善方針は、元々手作業で行っていたプロセスの高速化・自動化の発想でしたが、例えば前述のように「情報を使い捨てる」→「履歴を全て使う」といった発想の転嫁により、やるべき作業を一気に減らすことが可能になったわけです。

ここまでの結論に至るのに、予備調査を含めてわずかに1日分です。自分達だけで調べて対応していると、1年経っても終わらないかもしれない効果がだせます。

改善方針を自分達だけで決めてしまう前に、相談して見ませんか?