事例紹介

業務を自動化して、失敗する最大の理由とは
~ 家電製品に見る、自動化の極意 ~

業務の「自動化」が、一大ブーム!?

「人手が足りない」への回答は、自動化だけ?

ネットが煽る、自動化ブーム。国も施策化。コロナで無料化。

日経新聞と、配信されてくるいくつかのWebニュースサイトの案内を中心とした範囲でしか見てはいませんが、何か業務を自動化しないと非国民扱いされそうな印象を受けるのは、筆者だけでしょうか。

よく見れば、日経新聞の記事を書いている記者の多くが20代であり、自分自身で十分な裏付けをせずに「取材先がそう言った」のをそのまま掲載しているような記事が多いのも事実です。

我が国の文化として、「みんながやっていることは正しい」があるので、「みんなが自動化ツールを導入しているような空気」が醸造された結果、RPAやクラウドサービスを使って業務を自動化するのが一種の心得となり、IT導入補助金のような形で国が施策化し、更にコロナブーム?の煽りで無料だからとりあえず入れてしまえ!、とばかりに様々な「自動化ツール」を導入している例が、少なからず実在します。

そういえば、ある大学の社会心理学の研究室が行った無作為抽出調査において、「街中でマスクをする理由」の内、「皆がしているから」が4割強、「他人への感染防止」が0%、という調査結果が、日経新聞に出ていました。

自動化ツール導入で、業務が回らなくなる例も

今やっている仕事を自動化するのですから、高速になり、人的ミスもなくなり、しかも助成金まで付くなら良いことづくめに聞こえるのですが、実際は部分部分でブラックボックス化することにより、現場が混乱を来し、更に新型コロナの影響で在宅化したため「担当者が不在で、どうなっているのか分からない」ことだらけとなり、仕事が回らなくなった、という相談がありました。

まさに本末転倒で、何のための自動化なのかと考えさせられます。

 

自動化すれば、良いってものではない

こんな本末転倒を招くのも、「今のまま自動化」しているのが原因と考えられます。

例えば、「転記作業に時間がかかり、人的ミスも誘発する」から「転記作業をRPAで自動化した」は一見正しそうですが、転記する基→先の組み合わせが変わった場合には定義を変えなければなりませんし、そもそも一元化すれば原理的に転記は発生しなくなるのです。

このように、「今のまま自動化する」ことが、いかに実態にあっていないかを、わかりやすく家電の例で説明を試みます。

 

家電製品は、「家事をそのまま自動化」したか?

身近な家電製品に見る、あるべき自動化

掃除とはどんな作業だったか

掃除機が普及する前の掃除とは、主に箒を使って床を掃く行為でした。部屋の1箇所にゴミを集めて、ちりとりに移し、ゴミ箱に入れるのです。

それでは、掃除機が「箒を自動的にかける」「ちりとりにゴミを移してゴミ箱に捨てる」マシンだったらどうなっていたでしょうか?

恐らく、多くの人には利便性を感じられず、普及もしなかったのではないでしょうか。

掃除機のどこが「便利」か

そもそも、掃除が大変なのは箒で掃く行為そのものではなく、面積に比例した時間がかかることにあったわけです。

そこで、ゴミを集めるのではなく、吸い取って自分自身の中にため込んでしまうという発想転換がなされたことで、「掃いてちりとりに集める」をまとめて短時間でできるようになり、初めて利便性が実感されたわけです。

 

洗濯機の「便利」さ

同様に、洗濯とは、汚れた衣類を水にさらして汚れ要素を溶かしだすことで衣類の汚れを除去し、干して乾かすまでの一連の作業と言えます。

洗濯機普及以前は、洗濯板に衣類をこすりつけて汚れを落とし、手で絞って竹竿に通して乾かしていました。

これをそのまま自動でやってくれる機械があったとすれば、それなりに便利そうですが、川や井戸端に設置する前提かも知れませんので、便利かどうか微妙です。

要するに、自動的に洗って乾燥しておけばよい、ということに気付いた先人が、今の洗濯乾燥機を考えたのでしょうが、それまでの「業務プロセス」とはかなり違っていますね。

 

結論:業務を自動化する前に、発想の転換が有効

家電以外でも同様に見ていくと、普及したのはそれまでの業務プロセスをそのまま再現したものではなく、新たな解釈をしたからこそ受け入れられたものが大半です。

そのまま自動化する前に、今一度「コンピュータ」ならではの特性を考慮し、発想の転換ができないか考えて見てはいかがでしょうか?