Excel+クラウド(Azure)を使った販売管理システム

アクセス場所を選ばないクラウド上のExcel販売管理システム

背景

L社は経営コンサルティング会社として急成長しており、急激に社員数も増えています。とはいえ、まだ若い会社なので、自社でサーバを運営するほどの余裕はありません。
また、コンサルティング業という特性から、社員は全国のクライアントを飛び歩いており、自社に戻ってくる機会は限られます。
コンサルタントは営業も行っており、自分で契約した案件を自分でこなしているため、正確な契約=売上認識を行うことが、正しい案件管理の第一歩となります。

方針

イニシャルコストを抑えたい事情と、自社でサーバを運営する部門がないこと、更に出張先でも登録が可能であるといったニーズから、必然的にクラウドコンピューティングによる実装方針が固まりました。
全社員は日頃から提案資料等で、マイクロソフト社のOffice製品を使い慣れていることもあり、画面はExcelで作ることが求められていたため、フロントエンド(見た目の画面)=Excel、データベース=Azure Database(旧:SQL Azure)の構成に決まりました。
利用者からは、普段通りExcelを使っている様に感じられますが、実際のデータの格納は、Azure上のデータベースに対して行われています。

特徴

通常、Excelでアプリケーションを作ると、バージョンアップ時の配布方法が課題となります。本システムでは、アプリケーション本体もクラウド化することで、配布そのものを不要としています。
また、各種帳票だけでなく、全ての画面がExcelで作られていることで、コピペなどのExcel操作がほぼそのまま使えるため、利用者にとって特別なシステムという意識を無くすことに成功しました。
当然、販売管理システムとして必要な機能は網羅しており、月末一括請求書発行、一部入金などに対応した入金消込処理、さらにコンサルタントごとの成績一覧などのレポートも充実しています。

Excel+クラウド(Azure)を使った販売管理システム
比較項目 Excel+クラウド Webシステム
サーバの場所 クラウド上
プログラム本体の場所 クラウド上
処理速度 主にクライアントPCの性能に依存
ただし大量のデータ処理は等はサーバで処理
主にサーバの性能に依存
ただし画面制御などはPC側で処理
動作環境 Windowsやアプリケーションのバージョンに依存(古いバージョンでは動かない)
Office365のプランによっては、Windows以外でも閲覧のみ可能なケースあり
Macでも利用可能(作り方による)
ただしブラウザが違うと動かない場合あり
使い勝手
  • 矢印キーだけでカーソル移動可能
  • 面でコピペが可能(シート画面)
  • Excelが使えれば利用できる
  • 入力には慣れが必要
  • 項目単位でならコピペが必要
  • 個別システムごとに使い方を覚える必要
拡張性
  • 帳票追加レベルであれば比較的容易
  • 他システムとの連動は比較的容易
  • テンプレートへの機能追加であれば、ロジック変更が不要
  • 一般的に、機能追加工数が高め
  • 全ての機能がサーバ側コントロール下にあるので、ロジック変更が必要
コスト 一般的な工法により安めになるケースが多い(過去実績で3〜5割安いケースが多い) 全てサーバで行うため、高めになるケースが多い